収量が安定した超強力粉麦、ゆめちから

収量の多い小麦を求めて

今や、パンや麺類の、主食としての存在は、誰もが認めるところです。しかし、私たちが、毎日食べている小麦粉加工品の多くは、実は、輸入された外国産の小麦粉から作られます。以前は、うどんやまんじゅうには、地場の小麦が使われていて、小麦自給率が高かったのですが、米の増産政策により、日本の小麦生産量は減少してしまいました。しかし、時代が変わり、食事の傾向が変化した今、再び、小麦の食品自給率の向上を目指し、より、確実に生産できる品種が必要とされるようになりました。

国内産の強力小麦が求められていた

小麦と一言で言っても、様々な種類に分かれます。タンパク質(グルテン)の含有量によって分類されることが多く、多いものから「強力粉」「中力粉」「薄力粉」と呼びます。それぞれ種類によって用途が異なり、パンや中華麺には強力粉、うどんには中力粉、ケーキやお菓子には薄力粉が最適とされています。国産小麦は、この中で強力粉にできるものが少なく、収穫量が安定した強力小麦が長い間求められていました。

春播きの品種は、雨に当たりやすいため、穂発芽のリスクが

日本の小麦は、北海道産が最も多く、約7割を占めています。北海道産小麦には春まき小麦と、秋まき小麦があります。パンの膨らみのもとになるグルテンを多く含む強力小麦は、春まき小麦が主流ですが、春まきの品種は、雨に当たりやすいため、収穫量が少ない、病気に弱い等の問題があり、安定した生産が難しいという難点があります。

病気に強く、収穫量も安定している「ゆめちから」

そこで、多くの収穫量が望める、秋まきの小麦が開発されました。最初に開発されたキタノカオリは収穫時期が遅いため、雨や低温の影響を受けやすく、秋まきですが生産者泣かせの品種でした。このキタノカオリと、アメリカのパン用小麦を交配して平成20年に誕生したのが、「ゆめちから」です。「ゆめちから」は、病気に強く、収穫量も安定していることから、北海道の優良品種にも選ばれました。そして、栽培しやすいことに加えて、通常の強力小麦よりも、弾力の強いグルテンを多く含むという特徴があります。このため「超強力小麦」と呼ばれています。

多様性と可能性を大きく広げた「ゆめちからブレンド」

この超強力小麦のゆめちからの粉と、グルテンは柔らかくて少ないけれど、伸びる力の強い中力小麦粉とをブレンドすると、ふっくらとしたとてもおいしいパンになります。これが「ゆめちからブレンド」です。そのブレンド比率や、製法を変えることで、様々な特徴の生地を作ることができます。弾力が強いため、もちもちした食感を求めるラーメンなどにも多く使われています。

生産量が年々増える「ゆめちから」

まったく新しい小麦として誕生したゆめちからは、国の食料自給率を向上させたいという思惑によって、そして国産小麦の需要拡大とともに、ますます生産量を伸ばしています。